ブックイベント「秋田 Book Boat」の主旨にご賛同いただいた協賛店の皆様をご紹介。
今回は横手市前郷の古書店「古書販売 四葉文庫」さんです。本への思いと、ガッツリ書いていただきました。ぜひご一読を!
「古書販売 四葉文庫」http://yotuba-bunko.jugem.jp/
♦おすすめの本
『空、見た子とか』野田秀樹 著
♦本との気持ち
モンテーニュは、『エセー』という本の中で、「我々はただ言葉だけによって、人間なのだし、またつながっているのである。」と言っている。言葉が人間の証であることは当然の事として、「言葉によってつながっている」というのは一体どういうことだろうか。
図書館に並んだ本を眺めていると、ときどき不思議な感覚に襲われる。この何万冊と並んだ本の一冊残らず全てが、ひょっとしたら、一冊の本なのではないか。すべての本は、言葉で書かれた無限に長い本の「分冊」なのではないだろうか、そんなことを思うからである。
そして、その本の実体は、紙でもインクでもない、まさに言葉そのものであることに、今更ながら驚くのだ。
「本を読む」ということは、紙に印刷された文字に目を通す作業を言うのではない。本を読むとき、すでにその本の言葉が僕たちの内部で生き始めている。言葉が、僕たちの内部に沈殿し蓄積される。どれだけの言葉を僕たちが覚えているかは問題ではない。本を読むとき、僕たちの内部は必ず変容する。本の言葉は、親や友人や先生から聞いた言葉と同様に、僕たちの内部に深く蓄えられ、僕たちの生きる土壌となる。僕たちは、その土壌の上ではじめて生きることができるのだ。
先日見た「シン・レッド・ライン」という映画の中で、ある兵士が「我々は、一つの魂をもった一人の人間なのか?」とつぶやくシーンがあった。それぞれの個性を主張し、競争し、いがみ合い、憎み合い、殺し合う「個人」は、ひょっとしたら「一つの魂をもった一人の人間」の「分身」にすぎないのかも知れないというのだ。もしそうだとしたら、人間はどんなに憎みあっても、いつかはどこかで和解し、結ばれる可能性があることになる。
その和解と一致は、動物にはない。動物は、はじめから分裂してはいないからだ。僕たちは不幸にして言葉によって分裂したけれど、その同じ言葉によって再び和解し一致することができる。
「最近の若い人は本を読まない」という嘆きが聞かれるようになって、もう随分と久しい。もしそれが本当なら、僕たちの生きる土壌がどんどん痩せて行きつつあることを意味している。痩せた土地の上では、人は孤立し憎みあうだけだ。周りの人と本当の意味でつながり、愛しあうためには、僕たちにとって本を読むことはひとつの義務と言っていい。
今回のBook Boatは、僕たちの「本のある生活」のための広場として活用され、また、この広場が皆様の「つながり」のきっかけになることを切に願っております。
営業:12時~18時 不定休
期間:6/25(土)~7/18(月・祝)
住所:横手市前郷2番町3-33
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